富山県美術館収蔵品データベース構築支援
2022〜23年にかけて株式会社梅ノ木文化計畫は、富山県美術館の収蔵品データベース構築支援を行いました。
富山県美術館はアートとデザインをつなぐ美術館として、20世紀以降の絵画や彫刻などの近現代美術作品に加え、ポスターや椅子などのデザイン作品を多く収蔵しています。また、美術評論家で作家の瀧口修造や、音楽家のシモン・ゴールドベルクといった富山市にゆかりのある人物のコレクションを形成し、公開しています。収蔵作品数はおよそ18,000点にもおよびます。
データベースの構築にあたっては、約3000枚のポジフィルム・紙焼きのデジタル化とともに、芸術分野専門のアーキビストに参画してもらい、従来より富山県美術館が作成していた作品リストをもとにメタデータ(データを表す属性・付帯情報)の整理から始めました。作家名、作品名、制作年、技法、寸法など必要なメタデータを吟味した上で、展覧会カタログ(目録)と照合し情報を追加更新していきました。美術館におけるデータベース構築は、これら作品そのものに関する情報に加え、作品の来歴、展覧会出品、修復、参考資料といった記録も情報として扱うことになります。
一つ一つの情報が富山県美術館で現在展開されている活動のみならず、将来にわたって作品の保存、収集、公開を支え、地域の文化に寄与することを念頭に構築作業にあたりました。
また、収蔵品データベース構築支援に先立ち、2021年には美術館DX推進事業に関する提言書を作成しました。提言書の作成は、美術館の学芸員・研究員へのヒアリングを行い、現場の声を反映しながら進めました。
近年、美術館・博物館はもとより企業や組合の資料をデジタルアーカイブ化する必要性や有効性が認識されています。収蔵資料の管理を主とするデータベースでの公開にとどまらず、外部との共有、他組織や地域での利活用をふまえたデジタルアーカイブを形成することは重要でしょう。
美術館においては、館内で行われる展覧会や教育プログラムでの利用に加え、専門家による研究・調査、簡単に美術館にアクセスできない利用者への鑑賞機会の提供、地域や学校における文化学習など、美術館外での活用も期待されます。
富山県美術館の収蔵品データベースは、美術館公式HPで公開しています。(随時更新しています。)
データベースURL:https://jmapps.ne.jp/5670/